少年の心は取り戻せない? 思い出かな...
小さいころ私はクワガタムシが大好きでした。夏には暇があると山に入っていって捕まえに出かけておりました。友達と行くこともありましたが、成果配分でもめることもあり、基本は単独行動です。さらに、自分だけのコースも決まっており、秘密のポイントはなるべく人に教えないという、まるでいっぱしのハンターのように振舞っておりました。
クワガタハンティングは、通常は、せいぜい距離にして3~4Km、ポイントとして3箇所くらい回ると虫かごにある程度の成果があり満足して帰途につきますが、ライバルが先に回ってしまった後などまったくダメな時があります。そうすると遠征や新しいポイント探しに出かけて行きます。
ある時、どんどん山奥へ入って行くとすばらしいポイントがあったのです。基本的にクヌギの林でほとんどの木が樹液を流しています。喜びいさんで虫取りに興じた後、ふと周りを眺めると、林の中に大きな鳥居がありました。恐怖で凍り付いてしばらく動けなかったことを覚えております。小学校の低学年のころの話なので記憶もあやふやですが、帰ってからその話を親や大人にすると「鳥居のところまで行ったのか?そんな遠くまで一人で!危ない奴だな」と言われたような気がします。
そのような思いをして捕らえたクワガタ達は大きな缶に入れて、時々眺めては友達に自慢したりしていましたが、そんな管理状態ではすぐに死んでしまいます。今となってみると虫たちには、かわいそうなことをしたとも思いますし、クワガタのどこにそれほどの魅力があったか皆目見当もつきません。写真のクワガタは今年のお盆に生家に行った時におふくろが捕まえたものです。そこで少年の心を思い出そうとしげしげと観察してみましたが、やはり思い出すことは出来ませんでした。